対談

「瀧川鯉八 × 鯉八の母」

故郷の鹿児島で魚屋として毎日懸命に働く母。なかなか帰省できず、いまでは1年に1度顔を合わせるかどうか。幼い頃から過剰すぎるくらいの愛を注いでもらいました。
前向きで、やさしくて、料理上手で、働き者で、昼寝が好きで、細木数子先生が好きな、桜島おごじょ(鹿児島地方の方言で、気立てがよい、優しい、芯が通ったしっかり者の女性のこと)。
いつもユニクロのブリーフ送ってくれてありがとう。品質もよくて長持ちするので、30枚くらいでローテーションしてます。
長生きしてね!

瀧川鯉八

もしもし鯉八です。

鯉八の母親

あら~まーちゃん!( 鯉八の本名:吉田 誠 )どうしたの珍しい。
まーちゃん元気ね?

瀧川鯉八

まーちゃん元気だよ。

鯉八の母親

そっちも暑いでしょう?こっちは暑いよ~。東京はビルがたくさんあるからもっと暑いでしょう?少しは痩せたんじゃない?ブヘヘ。痩せなきゃいかんよ。まだ若いと思ってたらダメだよ。成人病になるからね。痩せなきゃダメだよ。あんたブタだからね。病気になるからね。何度も言ってごめんね。でもあんたのためだよ。昔お母さんが口酸っぱく言ってたのにっていつか後悔しても知らないからね。痩せなきゃダメだよ。あんたブタだからね。ちゃんと食べてる?暑いからちゃんと食べないと倒れるよ。ちゃんと野菜も摂らないとダメだよ。もう今夜は食べたね?

瀧川鯉八

もう食べたよ。

鯉八の母親

なに食べたの?

瀧川鯉八

タンメンとチャーハン。

鯉八の母親

ブタになるよ。いまもブタだけど、もっとブタになるよ。

瀧川鯉八

タンメンは野菜入ってるよ。

鯉八の母親

野菜入ってるならいいけど、スープ飲み干したらダメだよ。ブタになるから。

瀧川鯉八

わかってるが!ブタブタ言うなよ。

鯉八の母親

ごめんね。怒らないで。あんたの健康だけが心配なんだからお母さんは。ウチはね、あんたの好きなズシにしたよ(七草粥みたいなやつ)。送ろうか?でも腐るかね?

瀧川鯉八

いいよ送らなくても。

鯉八の母親

あんたのために青汁買っといたから今度送るがね。お金はあるね?

瀧川鯉八

あるよ。

鯉八の母親

ひゅ~お金持ち~。なに買ってくれるのかなあ~?

瀧川鯉八

なにか送ろうか?

鯉八の母親

ウソだが。なにもいらんが。ちゃんと貯金しときなさい。病気になったらお金がかかるからね。あんたブタだから。ウソだが。ごめんごめん。サラ金から借りたらダメだからね。困ってるならお母さんに言いなさいよ。言いにくいかもしれないけどその時は言うんだよ。サラ金はダメ。破滅するよ。保証人にもなったらダメだからね。

瀧川鯉八

うん。その時は言うよ。

鯉八の母親

で、なんね?

瀧川鯉八

「ソーゾーシー」って新しい落語会を、昇々(春風亭昇々)くんと一緒に始めてね。

鯉八の母親

昇々くんね!一緒にね?よかったね~。やさしくするんだよ。あんたすぐ偉そうにするからね。あの子は小さいからね、叩いたりしたらダメだよ。(お母さんはテレビで観てから昇々くんの大ファンなんです。)

瀧川鯉八

叩かないが!

鯉八の母親

叩いたらダメだよ。叩くときはオシリにしなさい。ケガしないから。

瀧川鯉八

オシリも叩かないが!

鯉八の母親

昇々くんみたいに綺麗な着物買いなさい。あの子はいつも綺麗なの着てるが。あんたの黄色い着物とかダサいよ。みんなダサいって言ってるよ。じいちゃんもダサいって言ってたよ。ずっーと同じのばかり着て。じいちゃんにそっくり!気に入ったのばっかりずっーと着てる。買いなさい。お金送ろうか?

瀧川鯉八

買ったよ新しいの。

鯉八の母親

ウソ言いなさんな。いつも黄色だがね。買いなさい!

瀧川鯉八

買ったって!今度見せるから。

鯉八の母親

ちゃんと買いなさいよ。

瀧川鯉八

買ったってば!

鯉八の母親

でなんね?

瀧川鯉八

「ソーゾーシー」って会でね、お母さんとの対談をしようってことになってね。いまこれ録音してるんだけど流していいよね?

鯉八の母親

なんにね?

瀧川鯉八

インターネット上で流すの。お母さんの声をみんなが聴けるの。

鯉八の母親

これが?お母さんが出るのね?先言わんねあんたは。(お母さんここから東京弁になる)

瀧川鯉八

質問をいくつかするからね?どんな子供だった?

瀧川鯉八の子供の頃の写真

鯉八の母親

おとなしい子供だったよ、引込み思案でね。あと、手はかからなかったよ、すぐ風邪は引いてたけどね。なにも欲しがらなかったしね。(すぐ鹿児島弁に戻る。)
物を大事にしたよ。パーマンのミツオくんの人形をずっと握りしめて寝てたがよ。でもミツオくんの右手が取れてね。お父さんがボンドでつけてたら、今度は右手が全然動かなくなったってずっと泣いてたがよ。しつこいからね。ずっと右手が動かないって泣いてたがよ。あと、癖が多くてね。ひとつの癖が治ると違う癖がでてきてね。テレビの横にあったドラえもんのゴミ箱の位置を10分おきに元に戻してたよ。全然ズレてないのに直しにいくの。あと、右手と左手の長さがズレてないかいつも確認してたがよ。「ちょーど。ちょーどちょーど。」ってていつも声に出してたが。

瀧川鯉八

覚えてるよ。
じゃあ、落語家になるって聞いたときどんな気持ちだった?

鯉八の母親

大学まで行かせたからね普通の仕事についてほしかったけど、まあしょうがないがよ。
師匠の言うことをちゃんと聞くんだよ。師匠はお元気ね?

瀧川鯉八

元気だよ。

鯉八の母親

師匠に魚送ろうかね?(実家は魚屋を営んでます。)

瀧川鯉八

師匠そんなに魚食べないから送らなくていいよ。

鯉八の母親

なんで食べないのね?変わってるが。

瀧川鯉八

ぼくの落語聴いてどう思う?

瀧川鯉八の子供の頃の写真

鯉八の母親

意味がわからんがよ。相撲取りの噺とお米の噺はいいと思うよ。(ぼくの新作落語「どすこい乙女」と「新日本風土記」のこと)
古典をやりなさい。古典を。小痴楽さん(柳亭小痴楽)はしゃべりが早くて何を言ってるかわからないよ。教えときなさい。(小痴楽あにさんすみません。あくまで個人の感想です。)
ちからは元気ね?(三遊亭小笑さんのこと。ぼくたちは中学の同級生です。)

瀧川鯉八

元気だよ。これから会うよ。

鯉八の母親

ちからも痩せなさいって言っときなさい。ちからのお母さんからこんにゃく玉もらったけど送ろうか?

瀧川鯉八

いらないよ。もう録音大丈夫だよ。どうもありがとう。

鯉八の母親

あ、録音だったね。ブヘヘ。みんなと仲良くするんだよ。頭を下げてね。自分がいちばんバカだと思ってたら頭を下げるのは苦じゃないからね。好かれなきゃダメだよ。あんたはすぐ調子に乗るからね。ダメだよ。ちゃんと食べてね。お母さんが思うのはそれだけ。痩せてね。

瀧川鯉八

うん。どうもありがとう。みんなにもよろしく。

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